SM(Standard Missileスタンダード・ミサイル)‐ 艦対空ミサイルの名称。


解説                   総合索引

  米海軍イージス艦に搭載される長距離アクティブ・レーダー誘導ミサイル。敵航空機、対艦・巡航ミサイルなどの迎撃のほか、対艦攻撃、大気圏内における弾道ミサイル迎撃の役割も担う。
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 SM-6は、SM-2BlockIV(4)に、AMRAAM(先進中距離空対空ミサイル)のアクティブ・レーダー・シーカ(探知機)を搭載した
2段式対空ミサイルである。開発は2004年に始まり、2009年より低率量産を開始した

 SM-6は、モジュラー構造で、大きく5つに区分される。
 先端はレドームとなっており、AMRAAMの送信装置などを利用したアクティブ・レーダー・シーカ(探知機)および、INS(慣性航法装置)などを内蔵する誘導部分である。
 この後方は弾頭部分となっており、目標方向に破片を集中できるMk125指向性爆風破片弾頭を装備する。信管は半導体の全面採用により信頼性を向上したMk45 Mod14を使用し、近接または着発モードを選択可能である。
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 弾頭部分後方はMk104デュアル・スラスト・ロケット・モーターで、短時間に大きな推力を発生する加速用と、速度を維持する巡航用の2種類の固体推進剤を内蔵する。外部には機軸に沿って縦長の安定翼が取り付けられる。
 ロケット・モーター後方は飛行制御部分となっており、外側に操舵翼4枚を装着する。
 最後部はMk72ブースターで、推力偏向方式を採用している。

 SM-6は、発射装置・輸送コンテナー兼用のキャニスターに格納され、イージス艦VLS(垂直発射装置)にセットされる。



 発射直前、飛行経路をプログラムし、VLSから発射される。Mk72ブースターは約6秒間燃焼後、投棄される。その後Mk104デュアル・スラスト・ロケット・モーターに点火、およそ15秒間燃焼し、音速の4倍以上(推定)に加速して飛行する。発射後は必要に応じてイージス艦からデータ・リンクにより、最も効率の良い飛行経路を指示され目標に向かう。ミサイルからは現在位置・高度などがイージス艦に送信される。また、目標情報は発射したイージス艦だけでなく、CEC(共同交戦機能)を利用して、他のイージス艦やAEW(早期警戒機)などからの情報も利用可能だ。
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 目標に接近すると、アクティブ・レーダー・シーカを作動させて目標を追尾し、近接もしくは着発モードにより目標を破壊する。なお、従来のセミ・アクティブ誘導方式の交戦も可能である。


 SM-6は、アクティブ・レーダー誘導方式のため、SM-2ミサイルの様に、SPG-62によるレーダー波照射を必要とせず、更に多数の複数目標に同時対処可能である。また、レーダーの視界外となる遠距離を低空飛行する対艦・巡航ミサイルにも対処可能である。



 SM-6には現在量産中のBlockI(1)Aのほか、弾体直径を13.5インチから21インチに大型化して、射程および飛翔速度を向上させたBlockI(1)B、さらに
誘導装置を改良して極超音速で飛来する弾道ミサイルを大気圏内にて迎撃可能な、Dual 1・2も開発中だ。
                          2022年7月15日改訂


性能・諸元

SM-6
全   長:6.55m
翼   幅:1.08m
弾体直径:0.34m
重   量:約1500kg

最大射程:約370km以上
最大射高:30km以上

弾   頭:Mk125指向性爆風・破片弾頭
誘導方式:指令(中間誘導)+アクティブ・レーダー・ホーミング(終末誘導)
速   度:音速の4倍以上(推定)
メーカー:レイセオン社他


参考文献

HIGH PERFORMANCE BOOST PROPULSION FOR NAVY THEATER MISSILE DEFENSE W.J.Kearne他 Pratt&Whiney
HIT-TO-KILL GUIDANCE ALGORITHM FOR THE INTERCEPTION OF BALLISTIC MISSILES IN THE BOOST PHASE by John A. Lukacs IV NAVAL POSTGRADUATE SCHOOL
Navy Aegis Ballistic Missile Defense (BMD)  Program: Background and Issues for Congress Updated October 20,2021 Congressional Research Service
Navies face choice questions for defence of surface combatants  Joris Janssen Lok and Richard Scott  JANE'S INTERNATIONAL DEFENCE REVIEW  February 2005
Raytheon社ホームページ
Setting higher standards: Missile line take aim at new targets Richard Scott JANE'S INTERNATIONAL DEFENCE REVIEW I MAY 2009
Standard Missile 6 Cooperative Earned Value Program Management 1 June 2009 Kirk Johnson (IWS 3A SM PM) Tim Lardy (RMS SM6 PM) Raytheon Company
THE NAVAL INSTITUTE GUIDE TO WORLD NAVAL WEAPON SYSTEMS FIFTH EDITION NORMAN FRIEDMAN
U.S Navy Fact File

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