ＳＤＢ  Ｓｍａｌｌ Ｄｉａｍeｔｅｒ Ｂｏｍｂの頭文字を取った略語。  直訳すれば小直径爆弾。　

解説　　　　　　　　　　　　　　　  　　　　総合索引

　ＩＮＳ・ＧＰＳ誘導の小型滑空爆弾を中心とする兵器システム。

　米空軍は、コソボ紛争等で、ＪＤＡＭの破壊力は、都市部において使用するには破壊力過大で、周辺部にも被害を与えるとの教訓から、破壊力の小さな精密誘導爆弾の開発を２００１年８月に着手した。

　開発はボーイング社と、ロッキード・マーチン社による競争試作が実施され、２００３年８月２３日ボーイング社が選定された。２００６年１０月５日、イラクで初実戦投入された。爆弾の制式名称はＧＢＵ-３９/Ｂ。
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　ＳＤＢは、中距離　空対空ミサイルＡＭＲＡＡＭと、弾体直径、重量は、ほぼ同一、全長は約半分と、従来の低抵抗汎用爆弾に比べ、スマートで小型である。また、炸薬量も少ないため、爆風・破片による加害半径も小さい。しかし、貫通力は貫通爆弾ＢＬＵ-１０９/Ｂに匹敵する。

　Ｆ−２２Ａの場合、１０００ポンド級(４６０ｋｇ)ＪＤＡＭを２発しか、胴体内兵器倉に搭載できなかったが、ＳＤＢは軽量・小型のため、８発搭載可能となり、１任務飛行辺りの攻撃目標数は４倍に増加する。また、プレデターなどのＵＡＶ(無人航空機)にも搭載可能だ。

ＳＤＢ兵器システムの構成は以下の通り。

• ＧＢＵ-３９/Ｂ　滑空爆弾本体
  
  　　全長１．８ｍ、幅０．２ｍ(翼収納状態)、重量１３０ｋｇで、構造は大きく３つに区分される。
  
  • 弾頭部
    弾体は、円錐形の頭部を持つ、細長い高張力鋼製の弾体で、鉄筋コンクリートなどの貫通に適した形状をしており、厚さ１．５ｍ以上の鉄筋コンクリートを貫通可能だ。約２２ｋｇの炸薬を内蔵し、後部にはＦＭＵ−１５２Ａ/Ｂ ＪＰＦ(Joint Programmable Fuze：統合プログラム制御信管)を装着、目標に応じた起爆設定可能である。指揮・通信バンカーや、航空機用シェルターなどの硬目標に対しては、鉄筋コンクリート貫通後、起爆する。対空陣地、物資集積場、砲兵陣地などに対しては、空中もしくは、地上で爆発し爆風・破片により被害を与える。Copyright (c)2006 Weapons School　 All rights reserved.
    　また、高張力鋼の弾体を複合素材に変更して、破片を減少させた殺傷力限定型(Focused Lethality Munition)も開発された。
    
    
  • 誘導・飛行制御部
    ＳＤＢは軽量・小型のため、ＪＤＡＭより高い攻撃精度が求められる。誘導装置の基本構成はＪＤＡＭと同一だが、ＩＮＳ(慣性航法誘導)と、精度の高いＤＧＰＳ(差動型全地球測位システム)によりＣＥＰ(半数必中界)は１．８ｍ以内とされる。後部には、投下後展開される操舵翼を装着する。
    
    
  • 翼(ダイヤモンド・バック)
    射程を延ばし、母機の生存性を向上させる展開式の翼を装着する。射程は母機の高度・速度により変化し、最大射程は１１１ｋｍ以上である。

  
  

• ＢＲＵ-６１/Ａ　小型弾薬懸架装置
  現用、戦闘機のパイロンに装着可能な搭載プラットフォーム。ＧＢＵ−３９/Ｂを４発搭載、空気圧により射出する。従来の火薬カートリッジ・タイプに比べ、射出時の衝撃は少なく、姿勢制御可能で維持費も安い。電子装置を内蔵し、在庫管理機能を持つ。
  
  
• その他
  攻撃計画立案を補助し、立案所用時間を短縮するミッション計画装置、兵站支援装置など。
  

　ＧＢＵ−３９/Ｂは投下直前、搭載航空機から現在位置、目標情報を受け取り投下される。投下後は翼を展開し、ＩＮＳ・ＤＧＰＳにより自律して飛行する。目標に到達すると、貫通力および爆風・破片効果を最大限に発揮するため、ほぼ垂直に着弾、事前に設定されたモードで起爆する。



　ＳＤＢの発展型として、悪天候時でも移動目標を攻撃可能なＳＤＢ�U(２)を運用試験中である。また、本計画の遅れにより、ＳＤＢにセミ・アクティブ・レーザー・シーカーを搭載したLＳＢＤも開発された。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２２年　２月１７日改訂　

性能・諸元

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