テポドン２ 　長距離弾道ミサイルの名称。

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　北朝鮮で開発された、２段式長距離弾道ミサイル。

　テポドンとは、本ミサイルの存在が最初に確認された北朝鮮東部の地名、大浦洞(テポドン)から米国が付けたコードネームで、北朝鮮では「白頭山２号」と呼ばれている。
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　テポドン２は、１９９０年頃、開発に着手し、ロシアまたは中国による技術援助を得たとされる。最大射程は、弾頭重量１０００ｋｇの場合、４０００ｋｍ以上で、米軍基地のあるグアム島を攻撃できる。弾頭を軽量化すれば、６０００ｋｍを超え、アラスカ州なども攻撃可能である。

　テポドン２のＣＥＰ(半数必中界)は３０００ｍ以上と、ピンポイント目標の攻撃には向かないが、大都市攻撃には十分な命中精度だ。弾頭重量は１０００ｋｇ以下と、通常の高性能炸薬では破壊力は限定される。しかし、核・生物・化学兵器を搭載すれば相手方をパニックに陥れることも可能で、心理的効果は大きい。
　搭載可能な小型・軽量の核兵器開発には、高度な技術力を必要とし、現時点では北朝鮮に独自開発能力はないとされる。

　北朝鮮は、テポドン２を基礎とし、人工衛星と固体推進剤ロケットの第３段を追加した、ＳＬＶ(Ｓａｔｅｌｌｉｔｅ Ｌａｕｎｃｈｉｎｇ Ｖｅｈｉｃｌｅ：人工衛星打ち上げ用ロケット)「銀河２号」を、北東部の舞水端里(ムスダンリ)から、２度発射しており、概略を以下に挙げる。

　なお、北朝鮮はテポドン２の、第１段、第２段を大型化した人工衛星打ち上げ用ロケット「銀河３号」も開発した。



　結果は、いずれも人工衛星の軌道投入には失敗している。しかし、２度目の発射では第１段、第２段とも事前に通告された危険地域に落下しており、３０００ｋｍ以上を飛翔していることから、北朝鮮の弾道ミサイル技術は、改善の余地は有るものの、着実に進歩していると判断する。Copyright (c)2009 Weapons School　 All rights reserved.

　構造に付いては北朝鮮政府からの公式情報は無く、以下はWeapons Schoolの推測である。

　先端は弾頭部分となっており高性能炸薬、核、生物、化学兵器などを搭載できる単一弾頭である。弾頭部分後方は慣性航法装置、自動操縦装置などを内蔵する誘導部分である。この後ろはノドン・ミサイルを利用した第２段で、燃料のケロシン(灯油)タンクと、酸化剤であるＩＲＦＮＡ(Inhibited Ｒed Ｆuming Ｎitric Ａcid：抑制赤煙硝酸)タンク、燃料と酸化剤を混合して噴射するターボ・ポンプ、およびロケット・エンジン１基を内蔵する。opyright (c)2009 Weapons School　 All rights reserved.

　第２段と第１段の間には、中間ステージと呼ばれる第１段と第２段を接続する構造物が取り付けられる。

　第１段は、新規設計した大型ブースターで、燃料のケロシン(灯油)タンク、酸化剤であるＩＲＦＮＡ(Inhibited Ｒed Ｆuming Ｎitric Ａcid：抑制赤煙硝酸)タンク、燃料と酸化剤を混合して噴射するターボ・ポンプ、およびノドン・ミサイルのロケット・エンジン４基を束ねたクラスタ・タイプとなっており、外部には安定翼４枚を装着する。
     

　テポドン２は、ノドン・ミサイルより大型で、多段式のため発射準備には時間を要し、発射の兆候を偵察衛星などで捕捉され易い。実戦使用する場合には、発射施設自体を地下式とし、発射準備を偵察衛星等に察知されない、工夫が必要である。

　テポドン２は発射後、第１段、第２段ロケット・エンジンの燃焼終了後に切り離し、弾頭部分を分離する。この後、弾頭は与えられた運動エネルギーにより弾道飛行して目標に向かう。Copyright (c)2009 Weapons School　 All rights reserved.



　最高高度は、５００ｋｍを超え、秒速約５ｋｍ(音速の１５倍弱)の速度で大気圏に再突入する。弾頭は、大気の抵抗で高温、高応力にさらされる。製造にはノドンなどの、射程１２００ｋｍクラスの中距離弾道ミサイルより、更に高度な製造技術が必要である。また、実際に射程数千ｋｍで発射して、弾頭が正常に分離され、目標地域に着弾、正常に作動することを、少なくとも数回確認する必要がある。２度しか発射を実施していない、テポドン２の実用性には疑問点が多い。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１７年　７月　９日　改訂

性能・諸元

テポドン２
全　　　長：約３０ｍ
弾体直径：第１段２．２ｍ/第２段１．３ｍ
重　　　量：約８０トン
弾頭重量：１０００ｋｇ以下
射      程：４０００ｋｍ以上
Ｃ　Ｅ　Ｐ：３０００ｍ以上

参考文献

宇宙航行の理論と技術　河崎俊夫編著　地人書館
新版　日本ロケット物語　大澤弘之監修　誠美堂新光社
トコトンやさしい宇宙ロケットの本　的川泰宣　日刊工業新聞社
防衛省ホームページ
ミサイル入門教室ホームページ
ロケット工学　佐貫亦男著　コロナ社
An Analysis of North Korea s Unha-2 Launch Vehicle David Wright March 20, 2009 Union of Concerned Scientist Citizens and Scientist for Environmental Solutions
Iran's Ballistic Missile Programs: An Overview Steven A.Hildreth Specialist in Missile Defense February 4,2009 Congressional Research Service
IRANIAN WEAPONS OF MASS DESTRUCTION Capabilities, Developments, and Strategic  Uncertainties Anthony H. Cordesman Arleigh A. Burke Chair in Strategy With Adam C. Seitz Working Draft for Review and Comments: October 14, 2008 CENTER FOR STRATEGIC & INTERNATIONAL STUDIES
North Korean Ballistic Missile Threat to the United States Steven A.Hildreth Specialist in Missile Defense February 24,2009 Congressional Research Service
North Korea Launches Another Large Rocket: Consequences and Options 38 NORTHホームページ
North Korean rocket flew further than earlier thought BY CRAIG COVAULT SPACEFLIGHT NOW Posted: April 10, 2009 
THE NORTH KOREAN BALLISTIC MISSILE PROGRAM Daniel A. Pinkston February 2008 Strategic Studies Institute United States Army War College
North Korean Long-range Missile Debris Survey January 18, 2013 Ministry of Defense English translation by D. Wright, revised 1/27/13
North Korea’s Taepodong and Unha Missiles Federation of American Scientistsホームページ
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SEVEN Jane's Information Group
Missile Defense Agencyホームページ

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