クラスター(集束)爆弾 多数の子弾を内蔵した爆弾の名称
解説
総合索引
航空機から投下されると、小型爆弾・地雷などの子弾を目標上空で散布して、広範囲を制圧する爆弾。
クラスター爆弾は、子弾の運搬・散布を行なう、言わば荷物を運ぶトラックのようなもので、火薬もしくは、回転による遠心力を利用して、散布範囲を広げるタイプも開発されている。
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子弾1発当たりの殺傷力は通常爆弾より劣るが、広い範囲に分散した目標を、一気に制圧できるため、対空砲火陣地、飛行場、補給物資集積場や、散開した戦闘車両・トラック、歩兵などの攻撃に使用される。
【クラスター爆弾禁止条約 批准は是か?】
2009年7月14日、日本政府は「クラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)」に批准した。子供などの非戦闘員が、不発弾により死傷する痛ましい事故が発生しており、これを少しでも減らすには、何らかの国際的な規制が必要とされているのは事実である。
しかし、北方領土の不法占領を続けるロシア、同じく、竹島を占領している韓国、また、尖閣諸島などの領有権を主張する中国等、我が国との領土問題を抱え、クラスター爆弾を保有する国が、本条約に批准してない以上、日本は本条約に批准するべきではない。
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その理由は、将来、上記の国々との間に領土問題を発端とした武力衝突が発生した場合、我が国だけが、クラスター爆弾を使用できない事により、軍事的に不利な状況に陥る可能性が有る為である。
政府は、精密誘導兵器によりクラスター爆弾を代替出来るとしている。しかし、精密誘導兵器は命中精度には優れているものの、広範囲を瞬時に制圧する能力には欠けている、また、調達費用も高額のため、限られた防衛予算では、充分な数量を確保するのは困難であり、コスト、効果面からみてクラスター爆弾を代替する兵器は、現時点では存在しない。日本政府の本条約への批准は、軍事的観点からは、愚かな行為であると言わざるを得ない。
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クラスター爆弾の構造は、大きく3つに区分される。先端部分には、定められた高度、もしくは時間で弾体を分割する信管。この後方に子弾を収納する貨物室がある。最後部には安定翼が取り付けられており、投下後、大型の安定翼を展開するタイプもある。
米軍制式名称はCBU( Cluster
Bomb Units:クラスター爆弾ユニット)と呼ばれ、SUU(Suspension
Underwing Units:翼下懸架装置)などのディスペンサーと、搭載される子弾の組合わせにより、様々な種類がある。
クラスター爆弾に使用される、主な子弾の種類を以下に挙げる。
種 類 |
役 割 |
対装甲・対物・対人子弾
(複合効果子弾) |
成形炸薬を内蔵、超高速のメタルジェットで装甲板を貫通、同時に周囲に破片を放出する。BLU-97/Bなど。Copyright (c)2002-2009 Weapons School All rights reserved. |
センサー信管付子弾 |
赤外線センサーを搭載、自律して戦車などの目標を探知・破壊する。BLU-108/B。 |
焼 夷 子 弾 |
ジルコニウムなど、空気と反応して発火する物質を飛散らせて、火災を起こす。BLU-97/Bなど。 |
対戦車、対人地雷 |
地雷を散布して、敵の進撃を遅らせる。BLU-91/B BLU‐92/Bなど。 |
米軍で使用されている代表的なクラスター爆弾は以下の通り。
名 称 |
CBU-87B/B |
CBU-89A/B |
CBU-97/B |
全 長m |
2.34 |
2.33 |
2.34 |
弾体直径m |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
重 量kg |
431 |
320 |
417 |
子
弾 |
BLU-97/B 202個
|
BLU-91/B 72個
BLU‐92/B 22個
|
BLU-108/B 10個
|
ディスペンサー |
SUU-65/B |
SUU-64/B |
SUU-66/B |
用 途 |
対装甲・対物・対人・焼夷 |
対人・対戦車地雷 |
対装甲車輌 |
備 考 |
CEM(複合効果弾薬) |
ゲイター地雷装置 |
SFW(センサー信管付兵器) |
クラスター爆弾、運用上の制約は以下の通り。
- 適切な散布高度を選択しないと、子弾の分散具合に影響する。散布高度が、高過ぎれば子弾は広がりすぎてしまうし、低過ぎれば期待した範囲をカバーできない。
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- 散布パターンの予測が困難である。
- 中・高高度から投下されると、風などに流され目標から外れてしまう。このためIMU(慣性測定ユニット)を利用して目標に誘導するWCMD(Wind
Corrected Munitions Dispenser
風向修正弾薬ディスペンサー)も開発された。
- 散布された子弾が不発の場合、友軍地上部隊の進撃の妨げとなったり、非戦闘員にも被害を与える危険性がある。不発弾の発生率は数%以上とされ、イラクやアフガニスタンでも、不発弾の処理は課題となっている。
クラスター爆弾と同様な子弾を使用する兵器には、MLRSや155mm砲弾などもある。また、このタイプの兵器は世界各国の軍隊で使用されている。
2010年1月15日 改訂
性能・諸元
CBU-87B/B
弾体全長:2.34m
弾体外径:0.4m
重 量:431kg
子 弾:BLU-97/B 202個
参考文献
オスロ・プロセスの意義と限界 外交防衛課 福田毅 リファレンス
平成21年2月号
クラスター爆弾:禁止条約批准 日本、G8で2番目 「全面廃棄」へ課題 2009年7月15日 毎日jp
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