イージスＢＭＤ(Ａｅｇｉｓ ＢＭＤ) Ａｅｇｉｓ Ｂａｌｌｉｓｔｉｃ Ｍｉｓｓｉｌｅ Ｄｅｆｅｎｓｅを組み合わせた造語　直訳すれば、イージス弾道ミサイル防衛。

解説　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　総合索引

　イージス艦を使用した、海上配備型 弾道ミサイル防衛システムの名称。

　イージスＢＭＤは、弾道ミサイルの脅威に、さらされている地域の周辺海域に展開し、弾道ミサイル発射の早期探知、追跡、および迎撃を行う。また、ＧＭＤなど、他の弾道ミサイル防衛システムへ、目標情報の配信も行う。Copyright (c)2005 Weapons School　 All rights reserved.

　イージスＢＭＤは以下のシステムにより構成される。

  • イージス艦

    現在就役中の、イージス艦に搭載されているフェーズド・アレイ・レーダーを使用して、弾道ミサイルの探知、識別、追跡から、迎撃ミサイルの誘導および、迎撃効果判定までも行う。

    従来より遠距離、高高度、高速度の目標を捜索・追跡するため、レーダー、処理装置、射撃統制装置、ソフトウエア・プログラムなどの改良を行うＬＲＳ＆Ｔ(Long Range Surveillance and Track)。

    米海軍は、弾道ミサイル迎撃能力を持つイージス艦を、２０１２年５月現在２４隻を保有しており、２０１５年までには３０隻に増加させる予定だ。

  • ＳＭ-２ ＢｌｏｃｋＩV(４)改良型、およびＳＭ-６改良型

    イージス艦のＶＬＳ(垂直発射装置)から発射される、２段式迎撃ミサイル。本来の用途は対艦ミサイル、航空機の迎撃であるが、改良を加え大気圏内での短距離弾道ミサイル迎撃を可能とした。

    SM-６改良型では、限定的ながら中距離弾道ミサイルも迎撃可能となる。

  • ＳＭ-３

    イージス艦のＶＬＳから発射される、３段式迎撃ミサイル。大気圏外で短・中距離弾道ミサイルを迎撃する。

  • センサー群

    赤外線早期警戒衛星や、前方展開ＡＮ/ＴＰＹ-２レーダーなど、外部センサーからの情報も、ＬＩＮＫ１６等のデータ・リンクを通じて利用可能である。
　イージスＢＭＤは、能力を段階的に向上させる計画で、その概要は以下の通り

名　称
配備時期 		概　　　　　　　　　　要 迎撃ミサイル 対処可能な脅威
3.6.1

配備中
ＳＭ-２ ＢｌｏｃｋＩV(４)改良型の導入により、大気圏内での短距離弾道ミサイルの迎撃も可能となる

他のセンサーからの情報で発射可能(Launch on remote)


SM-３ Block I(１)A


ＳＭ-２ ＢｌｏｃｋＩV(４)改良型
射程３０００ｋｍ程度の中距離弾道ミサイル迎撃可能
4.0.1

2013年頃
SM-３弾頭部分センサーを２波長化し、目標識別能力向上、軌道変更能力向上

レーダーの信号処理能力向上により、追跡、識別能力、同時交戦能力向上

ＴＨＡＡＤ、ＰＡＣ−３との連携強化

SM-３ Block I(１)B

ＳＭ-２ ＢｌｏｃｋＩV(４)改良型		 チャフ・おとりなどを使用する射程３０００ｋｍ程度の中距離弾道ミサイル迎撃可能
5.0/5.0CU

2015年頃
4.0.1をイージス・システム(Baseline 9)に移植、互換性を高め、能力向上、および取得価格、維持管理費用の削減も可能となるオープン・アーキテクチャー化を進める

SM-３の同時交戦能力向上

SM-６導入により限定的ながらも大気圏内における中距離弾道ミサイルも迎撃可能となる

ルーマニアに設置されるイージス・アショアに採用

SM-３ Block I(１)B

SM-６改良型

ＳＭ-２ ＢｌｏｃｋＩV(４)改良型		 チャフ・おとりなどを使用する射程３０００ｋｍ程度の中距離弾道ミサイル迎撃可能
5.1

2018年頃
SM-３センサー大径化により目標識別能力向上、第２・３段の大径化により終末速度を向上させ中距離弾道ミサイルへの対処能力向上

他のセンサーからの情報で交戦可能に(Engage on Remote)


ポーランドに設置されるイージス・アショアに採用
SM-３ Block II(２)Ａ

SM-６改良型		 チャフ・おとりなどを使用する射程５０００ｋｍ程度の中距離弾道ミサイルも迎撃可能

5.1X?

2020年以降
SM-３各段のロケット・モーター能力向上により、終末速度を向上させ、上昇中の中・長距離弾道ミサイルにも交戦可能となる

イージス・アショア(２ヶ所)に採用

SM-３ Block II(２)B
計画再編(中止)

SM-６改良型

限定的ながら長距離弾道ミサイルの迎撃も可能に

　なお、イージスＢＭＤは、イージス・アショア(Aegis Ashore)と呼ばれる陸上配備型、欧州中間コース弾道ミサイル防衛計画にも採用される。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１３年５月　７日　改訂

参考文献

AEGIS BALLISTIC MISSILE DEFENSE Aegis BMD:The Way Ahead Ms.Laura DeSimone Deputy Program Executive,Aegis BMD 6December 2011
Ballistic Missile Defense Update To:2012 Space and Missile Defense Conference RDML Randall M,Hendrickson ,USN Deputy Director Missile Defense Agency August 14,2012
Hagel: U.S. Bolstering Missile Defense By Amaani Lyle American Forces Press Service WASHINGTON, March 15, 2013
IAMD Requirements,Plans,and Programs 2nd Annual IAMD Symposium RADM Frank C.Pandolfe U.S Navy
Jane's NAVAL WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SIX　Jane's Information Group
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-NINE Jane's Information Group
Missile Defense Agencyホームページ
MISSILE DEFENSE Opportunity Exists to Strengthen Acquisitions by Reducing Concurrency Report to Congressional Committees April 2012 United States Government Accountability Office 
Navy Aegis Ballistic Missile Defense (BMD) Program: Background and Issues for Congress 　Ronald O'Rourke Specialist in Naval Affairs August10.2012  Congressional Research Service
RDT&E Budget Item Justification:PB2013 Missile Defense Agency  
Ｕ.Ｓ　Ｎａｖｙ　Ｆａｃｔ　File

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