M26 MLRS用ロケット弾の名称
解説 総合索引
対装甲・対物・対人効果を合わせ持つ子弾を散布する無誘導のロケット弾。MLRSに最も良く使用される弾種で、制式名称はM-26ロケット弾。
M26は全長3.937m、直径0.227m、重量306kg、最大射程は32km。644個のM77子弾を搭載する。1発でおよそ200X100mの範囲に被害を与える。
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構造は先端部部にM445電子式時限信管が取り付けられている。この後方はM77子弾、644個を収納する弾頭部分である。
M77子弾は8個の円筒形ポリウレタン・フォームに納められている。この中央部分には目標地点上空でM77を放出するための炸薬が装填される。
最後部は固体推進薬ロケット・モーターで、外側に折畳み式の安定翼が取り付けられる。安定翼は進行方向に対して1.25度、傾けて取り付けられており、弾道を安定させるため、弾体に回転を与える。
M26の弾着精度は目標の150m以内(射程により変化する)とされる。
M77は対機甲・対物・対人効果を持つDPICM(Dual-Purpose
Improved Conventional Munition複合目的改良型通常弾薬)とよばれる子弾で、直径38mm、高さ81mm、重量213gの鋼鉄製ケースに成形炸薬を内蔵、頭部に姿勢安定および起爆装置解除用のナイロン製リボンとM223信管が取り付けられている。
M26の発射直前、FCSからM445信管に作動時間を設定、発射指令によりロケット・モーターに点火される。適切な発射速度を確保するため、推力が5625kgに達するまで、M26はコンテナー内部にピンで固定される。推力が5625kgに達すると、ピンが折れ、ロケット弾は撃ちだされる。
M26が発射ポッドから離れると、収納されていた安定翼が展開され、反時計回りに毎秒10-12回転して弾道を安定させる。
目標地域上空に達すると、M445信管によりポリウレタン容器中心部の炸薬に点火、M77子弾を放出する。
M77子弾はナイロン製リボンにより落下姿勢を安定させ、安全装置を解除する。弾着時の衝撃で起爆して、成形炸薬は装甲板を貫通、周囲に破片を撒き散らす。12発(MLRS1輌分)のM26ロケット弾により、12万から24万平方メートルの範囲をカバーする。
ただし、射程10km以下で使用すると、不発弾の発生率が高い。またジャングルや森など、樹木が生い茂っている場所や、市街地では効果は減少する。
M26ロケット弾にはM77子弾を518個に減らして射程45km以上としたER(Extended
Range射程延長)ロケット弾もある。この他、GPS(全地球測位システム)・IMU(慣性測定ユニット)を持つ、GMLRS(誘導多連装ロケット・システム)も開発された。
2008年9月21日改訂
性能・諸元
M-26ロケット弾
重量:306kg
全長:3.937m
弾体直径:0.227m
弾頭:M-77子弾 644個
最大射程:32000m
メーカー:ロッキードマーチン社他
参考文献
世界の最新兵器カタログ 陸軍編 日本兵器研究会編 アリアドネ企画
大図解 世界のミサイル・ロケット兵器 坂本明 グリーンアロー出版社
AFV94 1994 世界の戦車年鑑 戦車マガジン社
FIELD MANUALNO. 6-60 Tactics, Techniques, and Procedures for MULTIPLE LAUNCH ROCKET SYSTEM (MLRS) OPERATIONS U.S Army
Jane's AMMUNITION HANDBOOK 1997−98Terry J Gander
Jane's Information Group
Jane's ARMOUR AND ARTILLERY 1997-98Christopher F Foss Jane's
Information Group
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