SEAD シードと読む。Suppression of Enemy Air Defence 敵防空網制圧の略語。


解説                             総合索引

 敵地に攻撃を行なう航空機にとって、最大の脅威である、敵防空網を制圧して、味方の損害を減少させ、制空権を獲得するための作戦行動。

 敵防空網を制圧するには、二つの方法がある。1つはハード・キルと呼ばれ、レーダー・サイトや防空指揮・通信施設、対空兵器陣地、防空戦闘機の基地などを、ミサイル・誘導爆弾等で、破壊してしまう方法。もう1つは、ソフト・キルと呼ばれる、レーダーや指揮用に使用される電波に妨害をおこなって、防空網の運用を不可能にしてしまう方法だ。通常はハード・キルと、ソフト・キルを併用する。
 SEADに使用される兵器は多種・多様で、ワイルド・ウィーズルと呼ばれるSEAD専用機から、HARMなどの対レーダー・ミサイルを搭載した航空機、ステルス戦闘・爆撃機、UAV(無人機)、戦闘ヘリ、電子妨害機、野砲、MLRSなど、あらゆる兵器を投入して、敵防空網を制圧、味方航空機が安全に作戦行動を行なえる空域を確保する。Copyright
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 新しい動きとして、イラク飛行禁止空域や、コソボ紛争において、度重なる攻撃にも拘わらず、移動式の地対空ミサイルSA−6・8などが、生き残っていた戦訓から、敵のレーダー使用を待って攻撃するだけでなく、偵察衛星やJoint-STARS・EC−135などから、目標情報をデータ−・リンクなどで受け取り、敵がレーダーを使用していなくても、攻撃できることが求められている。さらに、HARM等の対レーダー・ミサイルでアンテナを破壊して、SAMの発射を一時的に防ぐだけではなく、JDAMJSOWなどの精密誘導兵器を使用して、レーダーだけでなく、ミサイル発射機も含めて完全に破壊してしまうDEAD(Destruction of Enemy Air Defence 敵防空網破壊の略語)に移行しつつある。


参考文献

トム・クランシーの戦闘航空団解剖著者:トム・クランシー 訳:平賀秀明 新潮社
図解エアパワー最前線上・下 原書房 著者:アンソニー・ソーンボロ 監訳者:松崎豊一
戦場のIT革命 湾岸戦争データファイル 河津幸英 アリアドネ企画
AIRBORNE ELECTRONIC WARFARE: Jane's Publishing Company Limited 
From SEAD to  DEAD: Gert Kromhout:MILITARY TECHNOLOGY 2000/12


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