GBU-15/B 誘導爆弾の名称。


解説                         総合索引

 航空機から投下される滑空式誘導爆弾。対空砲火の射程外から、目標をピン・ポイントで攻撃できる。
 対空砲火陣地、指揮・通信バンカー・橋などの攻撃に使用される。制式名称GBU-15/B電子光学誘導爆弾。
Copyright (c)2003 Weapons School  All rights reserved.

 
GBU-15/Bは、誘導爆弾GBU-8/Bの後継として、米空軍により1974年、モジュラー式誘導爆弾システムまたはペイブ・ストライク・プログラムとして開発に着手。1983年に部隊配備を開始した。米国の他、イスラエル、オーストラリアで使用されており、3200発以上生産され、湾岸戦争で初めて実戦投入された。

 弾体はモジュラー構造となっており、先端は電子光学(TVカメラ)シーカーDSU-27/Bまたは、マーベリック・ミサイルに搭載されている画像赤外線シーカーWGU-10/Bなどを内蔵する誘導部分で、外部にカナード翼4枚を装着する。

 誘導部分、後方は弾頭部分となっており、2000ポンド(907kg)級のMk84低抵抗汎用爆弾、またはBLU-109/B貫通爆弾が使用される。

 この後方は、自動操縦装置および熱電池などを内蔵する、飛行制御部分となっており、外部に安定・操舵翼4枚を装着する。なお、最新型GBU-15(V)-3シリーズでは前部カナード翼、および後部安定・操舵翼はAGM-130用に開発されたMXU-787翼グループが使用されている。

 最後部はデータ・リンク用のアンテナが取付けられる。周波数は1710〜1850MHz帯が使用され、100km以上の距離からでも誘導可能とされる。

 
シーカーが捕らえた画像は、AN/AXQ-14データ・リンク・ポッドを搭載する航空機に送られ、 WSO(兵器システム士官)が、シーカー(探知機)の捉えた映像を、コクックピットのディスプレーで見ながら目標を選択する。

 GBU-15は発射前に目標をロック・オンするダイレクト・モードと、発射後、目標を捜索してロック・オンするイン・ダイレクト・モードがあり、状況に応じて柔軟に運用できる。場合によっては着弾まで手動制御も可能である。母機は発射後、退避行動を取れる。
 

 
マーベリック・ミサイルの場合、発射後はシーカーの捕らえた画像を見ることはできないが、GBU-15では目標に着弾するまでシーカーからの画像をデータ・リンクで送り続けるため、攻撃精度の評価にも使用できる利点がある。また、途中で新たな目標が出現した場合には、目標の変更も可能である。

 GBU-15/Bの主なタイプを以下に挙げる。

名  称 GBU-15(V)-1 GBU-15(V)-2 GBU-15(V)-31 GBU-15(V)-32
誘導方式 電子光学 画像赤外線 画像赤外線 電子光学
弾  頭 Mk84 BLU-109/B
備  考 MXU-724翼グループ使用。      ← MXU-787翼グループ使用     ←

 GBU-15/Bの射程は投下高度、速度などにより変化するが、最大射程は25km以上とされる。

 GBU-15/B運用上の制約は以下の通り。

  • 価格はレーザー誘導爆弾のおよそ10倍と高価である。
  • 目標を発見して、ロック・オンするには高い技量を必要とする。
  • 電子光学シーカーは夜間、霧、埃などで視界が遮られると、交戦可能距離が短くなる。
  • 画像赤外線シーカーも悪天候時には交戦可能距離が限定される。

 保有するGBU-15/Bに、GPS(全地球測位システム)を追加して、電子光学、画像赤外線センサーが使用できない悪天候下でも使用可能な、EGBU(強化型誘導爆弾)-15とする改良も実施され1200発以上に適用された。
 また、ロケット・モーターを追加して射程を延ばした派生型AGM-130も開発された。
 

                              2003/10/04制作


性能・諸元

GBU-15(V)-1
全  長:3.91m
弾体直径:0.46m
重  量:1125kg
誘導方式:電子光学(TVカメラ)
弾  頭:907kgMk84低抵抗汎用爆弾
射  程:25km以上
価  格:約2800万円。
メーカー:ボーイング社他


参考文献

図解エアパワー最前線上・下 原書房 著者:アンソニー・ソーンボロ 監訳者:松崎豊一
トム・クランシーの戦闘航空団解剖 著者:トム・クランシー 訳:平賀秀明 新潮社
U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著 原書房
BOEING社ホームページ
Enhanced GBU completes first Phase II drop test Released: 31 Aug 2000 by Rick Holder Air Armament Center Precision Strike Systems Program Office 
Federation of American Scientistsホームページ
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups
Raytheon社ホームページ
U.S. Air Force Fact Sheet


Aerospaceトップページへ

Top     Land      Sea     Others

 Copyright (c)2003 Weapons School  All rights reserved.