パンツァーファウスト3  または110mm個人携帯対戦車榴弾
人員携行型ロケット弾の名称


解説                           総合索引

 1人で運搬、肩に担いで発射可能な対戦車ロケット弾。制式名称パンツァーファウスト(Panzerfaust)3。陸上自衛隊でも使用されており110mm個人携帯対戦車榴弾と呼ばれる。

 パンツァーファウスト3は、戦車を正面から撃破できる強力な貫通力を持ち、建物内部から発射可能、取り扱いも簡単で、安価な対戦車兵器として1978年、西ドイツ陸軍により開発された。
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  パンツァーファウスト3は使い捨て方式のカートリッジと、再使用可能な照準・発射装置により構成される。
 
  カートリッジの構造は、前方に直径110mmのHEAT(対戦車榴弾)弾頭を装着したロケット弾があり、最大700mm以上の圧延均質装甲板を貫通できる。人員携帯型ロケット弾としては最大級の貫通力を持つ。後部には固体推進薬ロケット・モーターが内蔵され、外側に発射後展開される安定翼が取り付けられる。
   この後方はロケット弾を撃ち出すための発射薬がある。最後部はプラスティク製のカウンター・マスがあり、発射時の反動および後方爆風を減少させる。



 引金を引くと発射薬に点火、ロケット弾が秒速160mで発射機から撃ち出され、同時に後部のカウンター・マスをプラスティク片として後方に放出、発射時の反動と後方爆風を減少させる。建物内や、塹壕内部からでも発射可能とされる。ただし、後方10m以内はカウンター・マス(プラスティク片)が放出されるため危険である。また、ロケット弾は、誘導装置を持たないので、慎重に狙いを定める必要がある。
 
 発射されたロケット弾は安定翼を展開、ロケット・モーターに点火して最大243m/秒に加速する。
  最大射程は500m(固定目標)だが、レーザー測距装置を使用すれば600m以上の距離から固定目標を狙うことも可能である。
 
 目標に着弾するとHEAT弾頭を起爆して、装甲板を貫通、目標を破壊する。また、電子センサー等と組合せて道路脇に設置、戦車などの装甲車輛を無人で撃破することも可能だ。

 弾頭にはHEAT弾頭の他、Panzerfaust 3-Tと呼ばれるタンデムHEAT弾頭や、前方にHEAT弾頭、後方に擲弾を装備して、建物や掩蔽壕に潜む敵に使用されるBASTEG(Barricade and Street Encounter Grenade)、発煙弾、照明弾の他、頭部分を小型化した軽量タイプもある。

 強力な装甲貫通力を持つパンツァーファウスト3だが、重量が12.9kgと使い捨て方式のロケット弾としては重いこと、先端部に大型弾頭を装着するため、取り扱う際のバランスが悪いなどの評価もある。

                              2003年12月20日改訂


性能・諸元

Panzerfaust 3
全長:1.2m
重量:12.9kg
弾頭部直径:110mm
貫通力:700mm以上(圧延均質装甲)
最大射程:500m
メーカー:ダイナマイト・ノーベル社


参考文献


大図解 最新兵器戦闘マニュアル 坂本明 グリーンアロー出版
自衛隊図鑑 別冊スコラ54 株式会社 スコラ
自衛隊装備年鑑2002−2003 朝雲新聞社編集局編 朝雲新聞社
陸上自衛隊パーフェクトガイド 日裏明弘 中村征人監修 株式会社 学習研究社
Jane's INFANTRY WEAPONS 1999-2000   Terry J Gander       Jane's Information Group
ANTI-TANK WEAPONS John Norris   Brassey's

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