北朝鮮の発射した極超音速ミサイルに付いて
解説. 総合索引
北朝鮮は２０２１年９月以降、現在までに５回、中距離弾道ミサイル
クラスの滑空型極超音速ミサイルの発射試験を行っており、その弾頭形状を観察すると、いくつかの興味深い点がある。
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当初はウェーブライダーと呼ばれる楔(くさび)形をしていたが、２０２２年１月から２０２４年１月までの３回の発射試験では、米陸軍が冷戦時代に配備していたパーシング２に似たMaRV(Maneuverable Reentry Vehicle：大気圏再突入後、飛翔経路変更能力を持つ再突入体)の円錐形を採用している。
その後、２０２４年４月２日の発射試験では、楔形形状に戻っている。しかし、２０２１年９月の発射試験においては断面が半円形状であったのに対して、複雑な曲面を持つ形状に変更されている。
| ウェーブライダーとMaＲＶの違い
外観を比べると、ウェーブライダーは楔形、MaRVは円錐形である。 両者ともに高度１００ｋｍ以下の大気圏内を極超音速で飛翔する。しかし、ウェーブライダーは下面に発生する衝撃波の背後に生じる高圧部を揚力として滑空するため、MaRVに比べ、飛翔経路の変更可能範囲は広く、高い機動性を持つ。MaRVも飛翔経路の変更は可能ではあるが、その範囲はウェーブライダーに比べ限定される。 
ウェーブライダーは、下面に発生する衝撃波の位置を正確にコントロールするため、滑空時のピッチ角(迎角)およびロール角(横転角)等の機体姿勢を厳密に制御する必要がある。また、前縁部および下面は、空力加熱により高温にさらされるため、軽量耐熱構造とする必要が有るなど、製造および飛翔制御にMaRVより高度な技術力が求められる。
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これら弾頭形状の変化から、北朝鮮はMaRVに付いては、限定的ながらも飛翔制御技術を獲得したと推測する。
しかし、ウェーブライダーの飛翔制御技術および耐熱構造に付いては未だ手に入れておらず、様々な弾頭形状による飛翔試験を繰り返す、試行錯誤の段階であることを示しており、今後も発射試験を繰り返すと考えられる。
２０２４年５月１６日改訂
参考文献
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宇宙航行の理論と技術 河崎俊夫 編著 地人書館
エアブリーザ実験機におけるウェーブライダー翼適用の空力検討 晝間正治他 ＪＡＸＡ
再突入と翼-翼は着陸のため？ 白水正男 JAXA
メールマガジン第240号
数値貝瀬による簡易Waverider形状の空力特性：亜音速から極超音速までの空力特性 Ang
Xiang Qin他
中国軍の新たな朝鮮-HGV,MaRV ミサイル入門ホームページ
新盤日本ロケット物語 大澤弘之 株式会社誠文堂新光社
揚力再投入体について 保原 充 ながれ 2(1983)
有翼再突入実験機の飛行制御系と飛翔シミュレーション試験 川口淳一郎他 宇宙科学研究所報告第64号
1987年3月
HGV Unproven at IRBM Ranges:Analysis of the April 2 Hwasong-16Na Hypersonic
Missile Test TIANRAN XU APRIL 12.2024 38NORTHホームページ
N. Korea shows off new medium-to-long-range hypersonic missile NORTH KOREA NOW YouTube
North Korea's Latest Hypersonic Missile System Is One Sinister-Looking Weapon
JOSEPH TREVITHICK THE WARZONEホームページ
North Korea says Kim Jong Un led test of new ‘Hwasong-16B⁷ Hypersonic
missile Colin Zwirko April 3, 2024 NK NEWSホームページ
PERSHING II WEAPON SYSTEM TM 9-1425-386-10-1
HEADQUARTERS DEPARTMENT OF THE ARMY
Second Flight of North Korea's Solid IRBM Also Second Flight of HGV VANN H.VAN
DIEPEN APRIL 5,2024 38NORTHホームページ
THE
PERSHING II FIRING BATTERY FM 6-11 HEADQUARTERS
DEPARTMENT OF THE ARMY
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