ＬＯＣＡＡＳ　ロォカスと読む　Ｌｏｗ Ｃｏｓｔ Ａｕｔｏｎｏｍｏｕｓ Ａｔｔａｃｋ Ｓｙｓｔｅｍの頭文字を取った造語。直訳すれば低価格自律攻撃システム。

解説　　　　　　　　　　　　　　　  　　　　                         　　　　　  総合索引
　航空機および、ＡＴＡＣＭＳなどから発射される小型巡航ミサイル。

　戦場上空を飛びながら、自律して目標の捜索・識別・攻撃可能で、ＴＥＬ(移動式弾道ミサイル発射装置)、装甲車輌など移動目標の攻撃や、ＳＥＡＤ(敵防空網制圧)などに使用される。(c)Weapons School　 All rights reserved.
　機体は全長０．９ｍの大型ラジコン飛行機程度の大きさで、重量は４５ｋｇ。　価格も約４００万円と、マーベリック・ミサイルの５分の１程度で安価だ。軽量・小型のため、Ｆ-１６は最大１６発、Ｂ-２では最大１９２発搭載可能である。

  射程は１８０ｋｍ以上、中・長距離対空ミサイルの射程外から発射可能なため母機の生存性も高まる。

　ＬＯＣＡＡＳは、１９９０年に米陸軍・空軍共同で開発に着手した。
　当初は動力を持たない、滑空タイプで、目標は戦車などの装甲車輌や戦場阻止を主目的としていた。しかし、移動式弾道ミサイル発射装置や、ＳＥＡＤ任務への適用を求められ、小型ターボジェットを搭載、より遠距離から広範囲の目標を捜索するＰ(Ｐｏｗｅｒｅｄ)-ＬＯＣＡＡＳの開発に移行した。

ＬＯＣＡＡＳの構造は大きく４つに区分される。

• ＬＡＤＡＲ(Ｌａｓｅｒ Ｄｅｔｅｃｔｉｏｎ Ａｎｄ Ｒａｎｇｉｎｇ:レーザー探知・測距)
  レーザー・レーダー・シーカー(探知機)、近赤外線波長のパルス・レーザーを使用して地上を走査、目標画像を３次元で取得する。
  
  
• 誘導・飛行制御部
  ＬＡＤＡＲにより取得した目標情報を、データベースと照合して識別、最適な攻撃モード・および目標に応じた照準点を選択できるＡＴA(Automatic Ｔａｒｇｅｔ Acquisition：自動目標補足)機能を持つ。中間誘導はＩＮＳ(慣性航法装置)・ＧＰＳ(全地球測位システム)を使用し、指定された地点を通過する。
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• マルチ・モード弾頭
  爆発成形弾を装備し、目標が戦車の場合は長弾芯貫徹体、装甲車では空力安定弾、ＴＥＬ(移動式弾道ミサイル発射装置)や、地対空ミサイル発射機などの場合には破片を放出する。機体中央背部には折畳式翼が装着され、発射後展開される。
  
  
• 小型ターボ・ジェット・エンジン
  ＴＪ-５０ターボ・ジェット・エンジンは直径１０ｃｍ、推力２２ｋｇである。

　ＬＯＣＡＡＳは航空機などから発射されると、翼を展開、小型ターボ・ジェット・エンジンにより高度２２８ｍ、時速３７０ｋｍで飛行する。レーザー・レーダーにより地上目標を捜索、３次元画像イメージと記憶装置のデータベースと照合して、戦車、装甲車、ＴＥＬ、一般車輌を識別し、目標に応じた攻撃方法、照準点を選択、マルチ・モード弾頭を起爆する。目標を発見できない場合は上空で自爆して、不発弾処理を不要とする。

ＬＯＣＡＡＳ運用上の制約は以下の通り

• 目標が建物、森などに隠れている場合、補足は困難
• 雲や雨、霧、埃などにより、ＬＡＤＡＲの検知能力は低下する
• オトリと実物の区別は難しい
• 比較的低速のため、対空砲火で迎撃される可能性あり

　なお、双方向データ・リンクの搭載も計画されており、オペレーターによる目標選択や、ＬＯＣＡＡＳ相互で攻撃目標を適切に分担して二重攻撃などの無駄を省く事も可能となる。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２００６年　５月２７日制作

性能・諸元

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