ＫＮ−１１ 中距離
弾道ミサイルの名称
解説 総合索引
北朝鮮にて開発中の潜水艦発射型 ２段式 中距離弾道ミサイル。ＫＮ−１１は西側が付けた名称で、北朝鮮では「北極星１型」と呼ばれている。なお、本ミサイルを陸上発射用に改良した「北極星２型」も開発中である。
ＫＮ−１１は、当初、液体推進剤を使用した中距離弾道ミサイル、ムスダンの潜水艦搭載型と見られていた。しかし、２０１６年４月２３日に実施された発射試験の画像から、本ミサイルは固体推進剤を使用しており、ムスダンとは別系統の弾道ミサイルであることが判明した。
これは、水中発射時における諸問題の解決、および、液体推進剤の艦内流出等による危険性などを考慮して、技術的にはハードルの高い、大型
固体推進剤
ロケット・モーターの開発に取り組んだと考えられる。
北朝鮮では、従来、直径０．６ｍ程度のロケット・モーターしか実用化されていなかったが、今回、一気に直径１．３ｍの大型ロケット・モーター製造技術を獲得できたのは、ロシア、中国、イランなどから技術援助を受けた可能性が高い。
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大型ロケット・モーター製造の技術を獲得できれば、液体推進剤を使用したスカッド、ノドンなどに比べ、発射準備に要する時間を大幅に短縮でき、戦場における生存性も高まる。さらに、構造が簡単なため信頼性は高く、整備に要する人員、設備なども削減できるなど、実戦運用におけるメリットは大きい。ただし、液体推進剤を使用したロケット・エンジンに比べ、射程、および命中精度は劣る。
ＫＮ−１１の構造に付いては、北朝鮮からの公式情報はなく、以下はWeapons
Schoolの推測である。
先端は、弾頭部分（再突入体）となっており、６００ｋｇの高性能炸薬、核兵器などを搭載できる単一弾頭である。北朝鮮は、小型・軽量核兵器を開発したと発表しているが、北朝鮮の技術レベルからすると疑問点も多い。
弾頭部分 後方は慣性航法装置、自動操縦装置などを内蔵する誘導部分である。この後方は、直径１．３ｍの第二段ロケット・モーターで、アルミニウム粉末を加えたコンポジット推進剤を使用している。飛行制御は、後部端に設置された４基の推力偏向板により行われる。この後ろは第一段で、第二弾とほぼ同様の構造だが、全長は長い。
なお、３度目の発射試験では、ミサイル後部、外側に折りたたみ式の格子状安定翼８枚が、新たに装着されており、発射後、展開される。これは、発射直後の安定性確保のためと考えられる。
ＫＮ−１１は、ゴレ級と呼ばれる排水量約15００トンの通常動力型、潜水艦のセイル部分に設置された発射筒に格納される。
ＫＮ−１１の発射試験は、現在までに３回実施されており、２回目までは成功とは言い難いが、２０１６年８月２４日に実施された３回目の発射試験では、約５００ｋｍを飛翔した。
今回の発射試験では、発射角度を大きくとり、飛翔距離を犠牲にしたロフテッド軌道を選択したと考えられる。これを飛翔距離を稼ぐ最小エネルギー軌道で発射したと仮定すると、１０００ｋｍ以上を飛翔したことになり、北朝鮮の潜水艦発射
弾道ミサイルに関する技術は、大幅に向上したと言える。
だだし、北朝鮮
潜水艦の活動範囲は、朝鮮半島近海に限定されており、ＫＮ−１１の射程が１０００ｋｍ程度であることを考えると、数千ｋｍを航行して発射海域に到達する必要のある、米国本土はもちろん、アラスカ、ハワイなどへの攻撃は困難で、グアム島などへの攻撃に使用するのが現実的な選択肢であると考える。
なお、ゴレ級は、弾道ミサイル搭載型潜水艦としては、船体サイズが小型であることから、実戦配備に向けて、さらに大型の潜水艦を建造する可能性もある。
弾道ミサイル搭載型潜水艦は、通常、指定された海域で潜航しており、この位置を特定することは困難で、生存性は高い。発射指令を受けると、ミサイルの機能確認後、高圧ガスにより発射筒から射出する。海上に飛び出したミサイルは、ロケット・モーターに点火し、飛翔を開始する。この発射方式はコールド・ローンチ方式と呼ばれ、潜水艦搭載型
弾道ミサイルでは標準的な発射方式である。
第一段、第二段ロケット・モーター燃焼終了後は、弾頭(再突入体)を分離して目標に向かう。最高高度は２００ｋｍを超え、大気圏再突入時の速度は秒速
約３ｋｍ(音速の約９倍)である。高速度で落下してくる再突入体の迎撃は困難で、統合された弾道ミサイル防衛システムを必要とする。
２０１９年１０月 ８日 改訂
性能・諸元
ＫＮ−１１
全 長：約８ｍ
弾体直径：約１．３ｍ
重 量：約１０トン
弾頭重量：約６００ｋｇ
射 程：１０００ｋｍ以上
Ｃ Ｅ Ｐ：２０００ｍ以上
参考文献
宇宙航行の理論と技術 河崎俊夫編著 地人書館
火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)弾道学研究会編 防衛技術協会
現代の潜水艦 小滝國雄他 株式会社 学習研究社
APPLICATION OF MARINE TECHNOLOGY TO MOBILE MISSILE LAUNCH OPERATIONS By Erling
C,Londfried Chrysler Coｒporation
An Assessment of China's Ballistic and Cruise Missiles S,Chandrashekar他
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A New Submarine-Launched Ballistic Missile for North Korea By John Schlling 38
NORTHホームページ
A Solid but Incremental Improvement in North Korea's Missiles By John schlling
38 NORTHホームページ
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SEVEN Jane's Information Group
North Korea announces third SLBM Launch Richard D Fisher Jr, Washington DC-IHS
Jane's Defense Weekly
North Korea's "Bukkeukseong" (Polar Star) is a solid-fuel SLBM ! Norbert Brügge
Space Launch Vehicles all of the worldホームページ
North Korea Missile Test-Fired From High Angle to Limit Flight Path-Reports Global Security .orgホームページ
North Korea releases footage of SLBM launch IHS Jane,s 360ホームページ
North Korea's SLBM Program Progresses,But Still Long Road Ahead By John schlling
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North Korea Test Solid-Fuel Submarine-Launched Ballistic Missile By Ankit Panda
THE DIPLOMATホームページ
Not Much Below the Surface? by Markus Schiller他 Federation of American
Scientists Public Interest Report Summer/Fall 2015-Volume 68 Number 3
Report of the Panel of Experts established pursuant to resolution 1874(2009)
United Nations Security Council 24 February 2016
Russian Strategic Nuclear Forces Oleg Bukharin他 The MTI Press
Simulation on launching exhaust field of underwater missile during
vertical hot launching Ming Yang他 2nd International Conference on Electronic & Mechanical Engineering and Information Technology
Submarine Launched ICBM Trident II D5 and
Conventional Trident Modification 2LT George Koutsoumpos Journal of Computation
& Modelling ,vol.4,no1,2014,245-265
The KN-11,SLBM Prototype Flight Test Program of the DPRK By C,P,Vick Global
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The KN-X-?,SLBM Solid Propellant Prototype Flight Test Program of the DPRK By
C,P,Vick Global Security .orgホームページ
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