赤外線フレア  赤外線誘導ミサイルを、おびき寄せるためのオトリ


解説                           総合索引



 スティンガーサイドワインダーなどの、赤外線誘導ミサイルをおびき寄せるには、航空機と同様の周波数特性を持ち、強力な赤外線源を、短時間に発生させる必要がある。

  このため、赤外線フレアには照明弾に使用されるマグネシウムのほか、フロン、バイトンなどが使用され、燃焼すると、強烈な光と赤外線を放射する。
Copyright (c)2004 Weapons School  All rights reserved.

 旧式の赤外線誘導ミサイルでは、エンジンの排気口から放射される、2〜5ミクロン帯の赤外線を、点として捉えるレティクル方式を採用しており、比較的容易に赤外線フレアにおびき寄せられる。

 しかし、近年主流となりつつある、赤外線フレア識別能力に優れる、画像赤外線シーカーを欺瞞するには、2〜5ミクロン帯の赤外線のほか、エンジン排気および、機体の空力加熱により放射される8〜14ミクロン帯の赤外線を発生させ、赤外線画像も航空機に似せる必要があるため、赤外線フレアを多数放出して面展開するタイプもある。

 米空軍の使用するM-206赤外線フレアは全長20.3cm、断面は一辺2.5cmの正方形の、箱型アルミニウム製カートリッジに収納されている。

 構造はインパルス・カートリッジと呼ばれる射出用火薬と、点火薬および、マグネシウムとポリテトラフルオロエチレンの発熱体から構成される。

 フレア・カートリッジは、航空機の胴体などに設置された、チャフ・フレア・ディスペンサーと呼ばれる箱型の装置に装填される。

 ミサイル警報装置などで、ミサイルの接近を感知すると、インパルス・カートリッジにより射出され、0.5秒後に点火薬により発熱体に点火、約4秒間1000℃以上で燃焼して赤外線を放射する。

 赤外線フレア運用上の制約は以下の通り。

  • 可燃物のため、航空機に火災を引起こす危険性あり。
  • 射出されたフレアが地上に落下して、火災などを引起こす可能性もある。

 最近では、レーザーを接近してくるミサイルに向けて照射し、赤外線シーカーを飽和、または盲目にさせるタイプの赤外線誘導ミサイル防御装置も開発されている。

                          2004年4月10日作成


性能・諸元

-203赤外線フレア
全  長:20.3cm
重  量:190g
燃焼時間:3.5〜5秒


参考文献

火器弾薬技術ハンドブック(改訂版)弾道学研究会編 防衛技術協会
ミサイル工学事典 久野治義 原書房
EXPLOSIVES,PROPELLANTS & PYROTECHNICS  A Bailey & S G Murray  Brassey's
Jane's RADER AND ELECTRONIC WARFARE SYSTEMS 1999-2000

Aerospaceトップページへ

Top   Land         Sea        Others

 Copyright (c)2004 Weapons School  All rights reserved.