燃料気化爆薬 FAE(Fuel Air Explosive) 爆発時に発生する衝撃波を利用する爆薬。


解説                           総合索引

 酸化エチレン、酸化プロピレンなどの可燃性液体を、爆薬で飛び散らせて霧状の雲を作り、適当な濃度になった時点で点火すると、爆発して衝撃波を発生する。

 この衝撃波を利用して地雷原を無力化、広範囲に分布した歩兵の殺傷や車輌、建造物などを破壊する爆薬。Copyright
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 ベトナム戦争時、米国により開発され、湾岸戦争でもイラク軍の地雷原を無力化するため使用された。
 旧ソ連では、アフガニスタン侵攻やチェチェン紛争においてRPG-7から発射されるタイプも使用された。

 燃料気化爆薬の運用に当たっては、可燃性液体の空気中における濃度条件が厳しく、乱気流や地上に障害物などが存在すると、爆発しなかったり、効果が減少する場合もある。

米軍の使用する気化燃料爆薬の代表的なものは以下の通り

名称 BLU‐73/B BLU‐95/B BLU‐96/B
重量kg 45 227 907
爆薬種類
重量kg
酸化エチレン
33
酸化プロピレン
136
酸化プロピレン
635
備考 クラスター爆弾
用子弾
500ポンド爆弾 2000ポンド爆弾

 クラスター爆弾に搭載されるBLU-73/Bでは1平方cm辺り22kg(測定距離不明)の衝撃波を発生させる。この圧力にさらされると、人間は即死、車輌は完全に破壊され、重量コンクリート構造物も、かなりのダメージを受ける。

 なお、一部マスコミ等でBLU-82/B(デイジー・カッター)を燃料気化爆薬と解説しているが、これは誤りだ。なぜなら、爆発時の衝撃波を利用する点で両者は同じだが、爆発物と爆発のメカニズムは全く異なる。燃料気化爆薬は近接信管により酸化エチレン等の雲を形成、これに点火・爆発させる仕組みであるのに対して、BLU-82/Bは地上高1.24mで内蔵したスラリー爆薬を爆発させるだけの単純
な爆弾でしかない。


性能・諸元

BLU‐73/B
全    長:0.53m
弾体直径:0.34m
総 重 量:45kg
炸薬種類・重量:酸化エチレン33kg


参考文献

エネルギー物質ハンドブック 社団法人 火薬学会/編 共立出版株式会社
火薬学概論 中原正二 産業図書株式会社
火薬のはなし 久保田 波之介著 日刊工業新聞社
雑誌 歴史群像 航空爆弾 野木恵一

燃料気化爆弾の原理とメカニズム 野木恵一 軍事研究2002年4月号 (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著 原書房
Federation of American Scientistsホームページ
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups
USAF Museumホームページ

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