BLU−82/B 超大型爆弾の制式名称。


解説                           総合索引

  「デイジー・カッター」または「コマンドー・ヴォルト」とも呼ばれる超大型爆弾。

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 爆発時に発生する衝撃波により、地雷を無力化、もしくは、生い茂る樹木をなぎ倒してジャングルに、ヘリポートなどを緊急に作る場合や、広範囲に分散した歩兵、施設攻撃などにも使用される。制式名称BLU−82/B。Copyright (c)2002-2008 Weapons School  All rights reserved. 
 なお、「デイジー・カッター」の名称は、本来、爆風・破片効果を最大限に活かすため、弾頭部に延長信管を取り付けたMk80シリーズなどの航空機搭載爆弾にも使用され、
BLU−82/B固有の名称ではない。

 
BLU−82/Bは、爆弾というよりは、爆発物を収納した巨大タンクとも言うべき形状をしている。弾体は円筒形のタンクに円錐形の風防が取り付けられ、先端には長さ1.24mの信管プローブが取り付けられている。プローブの先端部分にはM904信管を装着しており、衝撃波が周囲に効果的に広がる高さで爆発させる。Copyright (c)2002-2008 Weapons School  All rights reserved. 

 内蔵される爆発物はスラリー(含水)爆薬で、硝酸アンモニウムやアルミニウム粉末と水などを「かゆ状」にした混合物である。爆発力はダイナマイト並みだが、製造・取り扱い面での安全性は高い。
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【 捕 捉 】
  爆薬に添加されるアルミニウム粉末は、爆発時に発生する熱量を増加させ、強力な爆風を発生させる役割を持つ。
 アルミニウム粉末が添加されていることから、これを空中に散布した後、粉塵爆発させるとの報道もあるが、アルミニウム粉末を空中に散布して爆発させるためには、濃度などの条件が厳しく、信頼性に欠け、実用兵器とはなり得ない。

   一部マスコミ等では、BLU−82/Bを燃料気化爆薬と解説しているが、これは誤りだ。なぜなら、爆発時の衝撃波を利用する点では同じであるが、爆発物と爆発のメカニズムは異なるからだ。

 
燃料気化爆薬は所定の高度において、近接信管によりエチレン酸化物等の雲を形成、これに点火・爆発させる仕組みであるのに対して、BLU−82/Bは地上高1.24mで内蔵したスラリー爆薬を爆発させるだけの単純な爆弾でしかない。

 現在、BLU−82/Bの投下に使用されているのは、特殊作戦に使用されるMC-130Hコンバット・タロンのみで、貨物室のパレットに搭載され、目標地点上空で後部貨物ランプから投下される。投下後はパレットを切離し、パラシュートを展開、地上に向かって降下、先端に取り付けられたプローブが地面に当たると、起爆して1平方cm辺り73kg(測定距離不明)の衝撃波を発生させ、地雷を爆発させたり、木々をなぎ倒す。

 
湾岸戦争では11発が地雷原等に使用されたが、爆発の凄まじさに、特殊部隊の隊員までもが核爆発と勘違いしたと言うから、敵兵士に与える心理的効果も大きい。
 BLU-82/Bの後継として、MOAB(大規模爆風兵器)も開発された。

                                                2008年3月25日改訂


性能・諸元

全    長:5.37m
弾体直径:1.37m
総 重 量:6804kg
炸薬重量:5715kg(スラリー爆薬)


参考文献

エネルギー物質ハンドブック 社団法人 火薬学会/編 共立出版株式会社
火薬学概論 中原正二 産業図書株式会社
火薬のはなし 久保田 波之介著 日刊工業新聞社
航空爆弾 野木恵一 雑誌 歴史群像 
燃料気化爆薬の原理とメカニズム 野木恵一 雑誌軍事研究 2002年4月号 株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー
米航空戦力、ウエポン&タクティクス 宮本勲 雑誌軍事研究 2002年1月号 株式会社ジャパン・ミリタリー・レビュー
U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著
 原書房
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups
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