クラブ(KlubまたはClub)　対艦ミサイルの名称　

解説　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　総合索引  

　ロシアで開発された艦艇搭載型、対艦 巡航ミサイル。制式名称は３Ｍ５４クラブ(Klub/Club)。ＮＡＴＯではＳＳ-Ｎ-２７シズラー(Sizzler)と呼ぶ。
Copyright (c)2011   Weapons School　 All rights reserved.
　クラブ・ミサイルはファミリー化されているが、本稿では３Ｍ５４を中心に解説する。

　開発は１９８５年に始められ、途中、財政難により一時停滞、ロシア海軍への配備は確認されていないが、２０００年頃からインド、中国などへ輸出されている。

　クラブは、亜音速対艦巡航ミサイルに、超音速ミサイルを追加したユニークな特徴を持つ３段式ミサイルである。

　第1段は艦艇から発射するためのブースター、第２段は亜音速巡航ミサイル、第３段は超音速ミサイルで、先端部分は、レドームでＡＲＧＳ-５４アクティブ・レーダー・シーカー(探知機)を内蔵する。後方は誘導・制御部分となっており、グロナス(ロシア版ＧＰＳ：全世界測位システム)、ＩＮＳ(慣性航法装置)および自動操縦装置などを格納する。この後ろは、弾頭部分で重量２００ｋｇの貫通弾頭を搭載、目標艦艇の内部で爆発し、被害を拡大する。弾頭部後方は、固体推進剤ロケット・モーターを内蔵し、ミサイルを音速の２．９倍に加速する。Copyright (c)2011   Weapons School　 All rights reserved.　

　第３段ミサイルに覆い被さる形で、第２段が取り付けられ、発射後展開される主翼、操舵翼と、燃料タンク、ＴＲＤＤ-５０巡航用ジェット・エンジンを内蔵し、後部にはノズル、下部にはジェット・エンジン用空気取り入れ口がある。

第２段、後方には第１段である発射用固体推進剤ロケット・ブースターが取り付けられ、ミサイルを高度約１５０ｍまで打ち上げ、ジェット・エンジン始動に必要な速度に加速する。
　　　

　クラブは発射直前、艦艇から目標情報を受け取り、ブースターにより発射される。発射後、翼を展開、高度約１５０ｍに達するとブースターを投棄し、巡航用ジェット・エンジンを作動させ、予めプログラムされたコースを高度約１０ｍ、速度は音速の０．６〜０，８倍で飛行する。
Copyright (c)2011   Weapons School　 All rights reserved.
　目標から３０〜４０ｋｍの距離に到達すると、一旦、上昇し、レーダー・シーカーを作動させ、目標を捕捉する。その後目標から約２０ｋｍで、第３段を分離し、ロケット・モーターに点火、速度は音速の２．９倍、海面高度３〜５ｍで目標に突入する。この際、目標艦艇の防空システムを混乱させるため、進路をランダムに変更する機動を行う。

　第３段の超音速ミサイルは、高速で、レーダー反射面積も小さいため、捕捉、迎撃は非常に困難である。



　クラブはファミリー化されており、以下に主なタイプを挙げる。

　なお、クラブＡ(Klub-A)と呼ばれる、航空機搭載型も開発されている。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１１年９月　９日制作

性能・諸元

全　　　長：８．２ｍ
弾体直径：０．５３ｍ
最大速度：Ｍ＝２．９(終末段階)
誘導方式：アクティブ・レーダー・ホーミング(終末誘導)＋ＩＮＳ・ＧＰＳ(中間誘導)
重　　　量：２３００ｋｇ
最大射程：２２０ｋｍ

参考文献

Historical present: Russia strives to modernise airborne weapons Robert Hewson Jane's  INTERNATIONAL DEFENCE REVIEW  AUGUST 2009
Jane's NAVAL WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SIX　Jane's Information Group
Jane's STRATEGIC WEAPON SYSTEMS ISSUE THIRTY-SEVEN Jane's Information Group
RUSSIAN/SOVIET SEA-BASED ANTI-SHIP MISSILES November 2005 Defense Threat Informations Group
The Development of Soviet/Russian Submarines Weapons Military Technology ･ MILTECH ･ 412007 
THE KLUB MISSILE FAMILY  May 2005 Defense Threat Informations Group
THE MODERN NON-NUCLEAR SUBMARINE Stefan Nitschke NAVAL FORCES V/2006 
THE NAVAL INSTITUTE GUIDE TO WORLD NAVAL WEAPON SYSTEMS FIFTH EDITION NORMAN FRIEDMAN US Naval Institute Press
Striking out,homing in:SSGWs take the fight beyond the shore Richard Scott Jane's  INTERNATIONAL DEFENCE REVIEW NOVEMBER 2009
SUBMARINE WEAPONS 2008 UPDATE Dr.Norman Friedman NAVAL FORCES III/2008
Sunburns,Yakhonts,Alfas and the Region (AustralianAviation,Sept2000.) March5,2001 CarloKopp 

Aerospaceトップページへ

Ｔｏｐ     Land      Sea     Others

　Copyright (c)2011   Weapons School　 All rights reserved.