バンカー・バスター 超貫通爆弾の名称。  


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 湾岸戦争中、特に頑丈な構造をもつ指揮・通信バンカーや地下施設を破壊するため、米空軍により開発された超貫通爆弾。通称「バンカー・バスター」または「ディープ・スロート」、弾体の制式名称はBLU−113/B。貫通力は貫通爆弾BLU−109/Bの3倍以上とされる。Copyright (c)2002-2004 Weapons School  All rights reserved.
 BLU−113/Bは、イラク、バグダッド近郊のアル・タジ空軍基地に建設された、強固な構造の指揮・通信バンカー、通称「タジ#2」を破壊するため、1991年1月下旬、開発
に着手した。

 
通常、この種の爆弾の開発には、数ヶ月以上を要するが、早急に製造するため、弾体は203mm榴弾砲の砲身を利用して、2月1日から製造を開始、同月24日には投下試験を実施した。
 
結果は驚異的で、コンクリートと同等の強度を持つ、粘土質土壌を30m貫通した弾体は、回収不能となった。また、ロケット・エンジンを取り付けた橇(そり)を使用した貫通力実証試験では、厚さ、6.7mの鉄筋コンクリート壁を変形することなく貫通した。

 停戦発効直前の2月28日に、BLU−113/Bは、レーザー誘導キットを取り付け、2機のF−111戦闘爆撃機より、2発投下され、「タジ#2」を見事に破壊した。

  BLU−113/Bを使用したレーザー誘導爆弾をGBU−28/Bと呼び、この他、B−2ステルス爆撃機用に、GPS(全地球測位システム)誘導キットを取り付けたタイプをGBU−37/Bと呼ぶ。

 BLU−113/Bは203mm榴弾砲の砲身を再利用しており、長さ3.88m、外径37cm。 弾体内部はトリトナール286kgを充填するため、長い管状になっており、ここから「ディープ・スロート」の通称が付けられた。弾体重量は2020kg(推定値)と戦闘爆撃機・爆撃機の搭載する通常爆弾としては全長・重量ともヘビー級のため、搭載できる機体は限定されており、爆撃機ではB−2、戦闘攻撃機ではF−111の退役した今、F−15Eストライク・イーグルのみである。

 
弾体後部にFMU−143/B信管を装着、爆弾が目標の表面ではなく、内部に突入してから爆発するように弾着の100分の6秒後に炸薬を起爆させる。
 
湾岸戦争終了後、Gセンサーを内蔵、貫通した部屋の数をカウントできる硬化目標用スマート信管FMU−157/Bも開発された。

 なお、GBU−28/BにGPS(全地球測位システム)・IMU(慣性測定ユニット)を追加、目標を視認できない場合でも攻撃可能な能力強化型レーザー誘導爆弾EGBU−28/Bも開発された。

                          2009年11月24日改訂


性能・諸元

GBU−28/B
全  長:5.84
弾体外径:0.37m
総 重 量:2132kg
炸薬重量:286kg(トリトナール)
貫 通 力:6.7m以上(鉄筋コンクリート)、30m(固化粘土土壌)
メーカー:ロッキード・マーチン社


参考文献

U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著 原書房
ム・クランシーの戦闘航空団解剖著者:トム・クランシー 訳:平賀秀明 新潮社
雑誌 軍事研究 (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups

THE LONG ROAD TO DESERT STORM AND BEYOND:THE DEVELOPMENT OF PRECISION GUIDED BOMBS Major Donald l.Blackwelder  SCHOOL OF ADVANCED AIRPOWER STUDIES AIR UNIVERSITY U.S.A.F

NATO Air-Launched Weapons Jeremy Flack The Crowood Press
Raytheon社ホームページ


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