B61-11地中貫通核爆弾の名称 


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 通常型地中貫通爆弾では破壊できないほど、地下深くに建設された指揮・統制施設、核・生物・化学兵器の貯蔵施設などを破壊するための核爆弾Copyright (c)2003 Weapons School  All rights reserved.

   従来、このタイプの地下施設を確実に破壊するため、米国の装備する核爆弾では最大級の爆発威力9メガトン(TNT火薬9百万トン相当)を有するB53核爆弾を地上爆発させる想定をしていた。しかし、爆発力が大きすぎ、広範囲に多大な被害をおよぼす。

 B61‐11は、これに替わり爆発威力は小さい(0.3キロトン〜10キロトン)
が、地下数mで爆発して衝撃波を効果的に地中に伝え目標を破壊する。マスコミ等では、これをMini Nuke(ミニ・ニューク:小さな核爆弾)と呼ぶ。


 
  B61-11の開発は、リビアの大深度地下、化学兵器貯蔵施設を破壊するため1987年、米国サンディア国立研究所において着手、1996年に保有する核爆弾B61-7を、地中貫通核爆弾B61-11に改良するキットの生産を開始した。
 
  B61-11は、先の尖った鉛筆のような形をしており、全長3.68m、弾体直径0.34m、重量548kgである。


 構造は先端部分に弾着時の衝撃に耐える硬鋼製ノーズ・コーンを装着し、ほぼ垂直に落下するよう重さ114kgのバラスト(おもり)を内蔵する。


 弾体中央は核弾頭部分となっており、爆発力可変タイプである。爆発威力に関して米国防省等からの情報は無く、FAS(
Federation of American Scientists)Atomic Scientistsなどの科学関連ホームページでは0.3キロトン〜340キロトン、Jane's年鑑では10キロトン〜500キロトンとしているが、その詳細は不明である。核弾頭部分には、安全装置や起爆装置も内蔵する。

 
この後方は安定翼4枚と、投下後の減速、姿勢安定用のフレアと呼ばれる円錐形コーンを装着する。
 
現在、B61‐11を搭載できる機体はB‐2、F‐16とされる。
 
 B61‐11は投下されると、ほぼ垂直に地面に弾着して深さ2〜8mに到達、遅延信管により起爆する。核爆発で発生した衝撃波により周囲数百メートルにある地下施設を破壊する。

  しかし、地下数mでの核爆発は、例え0.3キロトン(TNT火薬300トン相当)の爆発威力であっても、爆発時に発生する火球が周辺土壌を吹き飛ばして地上に現れ、核分裂生成物、中性子照射により放射性物質となった土壌などの放射性降下物(いわゆる死の灰)により、周辺地域に深刻な放射能汚染もたらす。
 
  米国防省ではB61-11よりさらに、爆発威力の小さな「ミニ・ヌーク」開発の必要性を唱える者もいる。しかし、実用化には実証試験が不可欠であり、核不拡散の流れに逆らい、インド、パキスタンなどの核実験を助長する可能性もある。
                     2003年2月01日制作


性能・諸元

弾体全長:3.68m
弾体直径:0.34m
弾体重量:548kg
弾頭:核爆弾 爆発威力可変:0.3キロトン〜170キロトンとする説と10キロトン〜500キロトンとする説あり。
貫通力:2〜8m(土壌により変化)
メーカー:サンディア国立研究所他


参考文献

原子爆弾 その理論と歴史 山田克哉 ブルーバックスB-1128轄u談社
ステルス爆撃機B-2の現状 宮本勲  雑誌 軍事研究2000年2月号 (株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
世界の放射線被爆地調査 高田純 ブルーバックスB1359
ブルトニウム 超ウラン元素の正体 友清裕昭 ブルーバックスB-1077轄u談社
U・S・ウエポン・ハンドブック 宮本勲編著 原書房
B-2 successfully drops improved bunker buster bomb Air Force News Mar 26,1998
B61-11 Concerns and Background Los Alamos Study Group February 10, 1997 
Federation of American Scientistsホームページ
Jane's Air-Lunched Weapons Jane's Information Groups
Jane's Strategic Weapon Systems Jane's Information Groups
Hagengruber: B61-11 a modification, not a new weapon Sandia Lab News August 1, 1997
New bomb, no mission by Greg Mello Bulletin of the Atomic Scientists May/June 1997Vol. 53, No. 3, pp. 28-32
 
 
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