炭疽菌(たんそきん)炭疽病を引きおこす細菌。生物兵器としても使用される。


解説                           総合索引
 元々は土壌中に存在する3−10ミクロンほどの細菌で、馬、牛、羊などの草食動物に感染する。炭疽という名前は、皮膚炭疽、特有の炭の様に黒い、かさぶたに由来する。人への感染は、炭疽菌感染した動物から、皮膚の傷口等を経て感染する場合が多い。わが国での感染例はごく少数である。炭疽病は感染ルートにより皮膚炭疽、肺炭疽、胃腸炭疽にわけられる。Copyright (c)2002 Weapons School  All rights reserved.

種  類 皮膚炭疽 肺炭疽 胃腸炭疽
感染ルート 傷口などから 呼吸器からの吸引 汚染された食肉
潜伏期間 1−4日 1−6日
症  状 水ぶくれ→黒いかさぶた

発熱、敗血症(粘膜部分からの出血等)によりショック状態となり死亡する

発熱、リンパ節の腫れ、敗血症

肺浮腫(肺に水がたまる)により呼吸困難となり死亡する。

発熱、咳、嘔吐、腹痛、血便、腹水、腸閉塞

敗血症によりショック症状となり死亡する

致死率% 10−25 80以上 50以上
備  考 初期症状は風邪に似ている

 炭疽菌は、生物兵器として使用されると恐るべき猛威をふるう。特徴は高い致死率と耐性にある。特に、肺炭疽の場合、致死率は80%以上と高く、発症して1−2日で死亡する。また、炭疽菌は芽胞(がほう)と呼ばれる胞子状態で土壌中に存在、熱や紫外線、薬剤に対して耐性があり、乾燥状態で40年以上経緯後でも、条件が整えば、菌となって活動する。生物兵器として使用する場合は芽胞状態の炭疽菌をエアゾル化して使用する。初期症状が風邪に似ているため、発見も遅れ、感染が広がる可能性もある。
 米軍では予防措置として、炭疽菌ワクチンを東南アジア等に派遣される兵士に接種している。また、炭疽菌に感染しても、初期にペニシリンなどの、抗生物質を投与すれば助かる確率は高い。
 なお人から人への感染は、感染者の血液・体液などに接触して、炭疽菌が傷口から侵入しない限り、感染した例は稀であるとされる。


参考文献

カラー図説 医学大事典 森岡恭彦総監訳 朝倉書店
雑誌 軍事研究 生物兵器の実態 小林直樹 2001年2月号(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー
細菌戦争の世紀 トム・マンゴールド ジェフ・コールドバーク 上野元美訳 原書房
病原体はどう生きているか 益田昭吾 ちくま新書 筑摩書房
IDWRホームページ
CDCホームページ


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