AC−130 スペクター・ガンシップ 輸送機を改造した攻撃機の名称


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 ターボプロップ中型戦術輸送機C-130を改造して、重火器を搭載した攻撃機。敵補給部隊等の攻撃および、味方地上部隊に強力で正確な火力支援を行なう。スペクターはAC−130Hのニックネーム、最新型であるAC−130Uはスプーキーと呼ばれる。

 米国でのガンシップの歴史は古く第二次世界大戦時、B-25・26爆撃機を改造して機関銃を装備したタイプが開発され、ベトナム戦争時、AC−47やAC‐119を経てAC−130に到った。現在使用されているのは、C−130E輸送機を改造したAC−130Hと、最新型のAC−130Uである。Copyright (c)2002 Weapons School  All rights reserved.
  搭載する火器は機体進行方向左側、横向きに並べられており、H型は胴体前部にM61A 20mmバルカン砲2門、U型では、これに替えてGAU−12 25mmバルカン砲1門となった。胴体後部にはM2A1改 ボフォース40mm機関砲1門と、M102 105mm榴弾砲1門を装備しており、航空機に搭載する火砲としては最強だ。 各火砲の最大発射速度は20mm砲 毎分2500発、25mm砲 毎分1800発、40mm砲 毎分120発、105mm榴弾砲 毎分10発で、敵に「砲弾の雨」を降らせる。
 なお、U型に搭載されている25mmバルカン砲と、ボフォース40mm機関砲を、ブッシュマスターII 30mm機関砲に交換する作業が進んでおり、2007年12月までに4機を部隊に引き渡す予定だ。


 正確な射撃を行なうため、搭載するセンサー類も充実しており、赤外線センサー、超高感度テレビ・カメラ、レーザー測遠・照準器、トラックなどのエンジンから出る電子ノイズを探知するレーダー、側方監視・無線標識レーダー、さらにGPS(全地球測位システム)とINS(慣性航法装置)を搭載している。これらのセンサーから収集されたデータは火器管制コンピューターで処理され、各砲に伝達される。必要があれば砲の射撃範囲を限定することも可能だ。
 U型では、合成開口レーダーや全光量テレビなども搭載、火器管制コンピューターの進歩により、同時に2つの目標を攻撃できる。

 照準は機長席左側に、取り付けられたHUD(ヘッドアップ・ディスプレー)により行なわれる。攻撃は、およそ高度3000mで、パイロン旋回と呼ばれる左旋回を続け、長時間に渡り正確・強力な火力を発揮する。

 AC−130は輸送機を母体としており、飛行速度が遅く、敵戦闘機や地対空ミサイル・火砲に対して脆弱で、湾岸戦争の際にもイラク軍の人員携行型地対空ミサイルSA−16により1機撃墜されている。これらの脅威に対抗するため、胴体主要部分には装甲板が取り付けられ、乗員・機材を対空砲やミサイルの破片から守る。また、防御手段としてフレアーやチャフ、赤外線・電波妨害装置も搭載している。地上からの発見を困難にするため、攻撃は通常、夜間に行なわれる。
 AC−130の運用には制空権の確保が不可欠で、圧倒的な航空戦力を持つ米国だけが保有できる兵器だ。


                                  2007年9月16日改訂


性能・諸元

AC−130U
全長:29.8m
翼幅:40.4m
全高:11.7m
エンジン:アリソンT56−A−15ターボプロップ*4
航続距離:約4800km
最大離陸重量:69750kg
武装:25mm機関胞*1、40mm機関胞*2、105mm榴弾砲*1
巡航速度:480km/h
上昇限度:7576m
乗員:13名
メーカー:ロッキード・ボーイング社他


参考文献

ワールド・エアクラフト ビデオコレクション 41 特殊攻撃機ガンシップ  デアゴスティーニ ジャパン
C-130 Hercules in action AIRCRAFT NO.47 squadron/signal pubications 
Lockheed C-130 HERCULES and Its Varinats Chris Reed     Schiffer Military History
LOCK ON No3 LOCKEED C-130H/AC-130E"HERCULES" VERLINDEN PULICATIONS
'Spooky' Gunship Gets New Cannons Precision Strike Digest 2007Vol.20, No.1
U.S. Air Force Fact Sheet

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